空気環境測定とは?ビル管理法で定められた頻度・測定項目と基準値を解説

特定建築物の管理者に義務付けられている法定項目のなかでも、実施回数がもっとも多いのが空気環境測定です。年6回のペースで巡ってくる測定でありながら、「どの項目を測っているのか」「基準を外れたときに何をすべきなのか」まで把握できている方は意外と少ないのではないでしょうか。ここでは、建築物衛生法(ビル管理法)が定める空気環境測定について、頻度、測定項目と基準値、実施者、記録の扱いまでを順に整理します。

空気環境測定とは何か

空気環境測定は、建築物衛生法に基づく建築物環境衛生管理基準のうち、「空気環境の調整」に関する法定項目です。空気調和設備または機械換気設備を設けている特定建築物では、居室の空気が基準に適合しているかを定期的に測定し、適合していない場合は設備の調整などの必要な措置を講じることが求められます。対象となる建物の範囲や、そのほかの法定項目については特定建築物とは?ビル管理法で義務付けられる点検の種類もあわせてご確認ください。

測定の頻度は2ヶ月以内ごとに1回

空気環境測定は、2ヶ月以内ごとに1回、定期に実施することが定められています。1年間でおおむね6回となり、空気環境に関する項目のなかでは高い頻度です。「2ヶ月以内ごと」ですので、前回の測定日から2ヶ月を超えないうちに次の測定を行う必要があります。年度の途中で委託先を切り替える場合などは、測定間隔が空いてしまわないよう引き継ぎのタイミングに注意しましょう。

ホルムアルデヒドについては扱いが異なります。新築、増築、大規模の修繕または大規模の模様替を行い、その使用を開始した日以後最初に到来する6月1日から9月30日までの期間中に1回測定することとされています。毎回の測定に含める項目ではなく、建物や内装に手を入れたタイミングで実施する項目だと理解しておくとよいでしょう。

測定する項目と基準値

空気環境の調整について、建築物環境衛生管理基準では次の値が定められています。

  • 浮遊粉じんの量:0.15mg/立方メートル以下
  • 一酸化炭素の含有率:6ppm以下
  • 二酸化炭素の含有率:1000ppm以下
  • 温度:18度以上28度以下
  • 相対湿度:40パーセント以上70パーセント以下
  • 気流:0.5メートル毎秒以下
  • ホルムアルデヒドの量:0.1mg/立方メートル以下

このうち温度の下限(従来17度)と一酸化炭素の基準(従来10ppm)は、令和4年4月1日施行の改正で現在の値に変更されています。古い資料や社内マニュアルを使い回している場合、旧基準のまま運用しているおそれがありますので、一度確認しておくと安心です。なお、居室の温度を外気温度より低くする場合は、その差を著しくしないこととされています。また、空気調和設備ではなく機械換気設備のみを設けている居室では、温度と相対湿度は測定対象から除かれます。

測定の方法と実施者

測定は、その建物の通常の使用時間中に、各階ごとに居室の中央部で、床上75センチメートル以上150センチメートル以下の位置において行います。人がほとんど在室していない早朝や休館日に測ってしまうと、実態を反映した数値になりませんので、執務時間中に実施するのが原則です。

実施にあたっては、都道府県知事の登録を受けた「建築物空気環境測定業」の登録業者に委託するのが一般的です。この登録は、必要な測定機器や、登録講習を修了した空気環境測定実施者の配置といった要件を満たした業者に与えられるもので、業者選びの際のひとつの目安になります。委託先を検討する際は、ビル管理点検の費用相場もあわせて参考にしてください。

測定結果の記録と保存

測定結果は帳簿書類として記録し、建物内に備えておく必要があります。空気環境の調整に関する測定結果の記録は、5年間の保存が義務付けられています。保健所の立入検査では、この記録の有無と内容が確認されますので、測定報告書は年度ごとにまとめ、所在が分かる形で保管しておきましょう。測定を実施していても記録が散逸していると、実施していないものとして指摘を受けかねません。

基準を外れた場合はどうするか

測定値が基準を外れた場合、罰則がただちに科されるわけではありませんが、基準に適合するよう空気調和設備等を調整する義務があります。原因は項目ごとにおおむね傾向があり、二酸化炭素濃度が高い場合は外気の取り入れ量の不足や在室人員の増加、浮遊粉じんが多い場合はフィルターの目詰まりや清掃不足、冬期に相対湿度が下がる場合は加湿装置の能力不足や不具合が疑われます。

大切なのは、測定して終わりにしないことです。報告書に不適合の項目があった場合は、原因の推定と実施した対応、その後の改善状況までを記録に残しておくと、立入検査の際にも説明しやすくなります。測定業者に原因の所見や改善の提案まで含めた報告を求められるかどうかも、委託先を選ぶ際の比較ポイントになります。

まとめ

空気環境測定は、2ヶ月以内ごとに1回という高い頻度で実施が求められる法定項目です。浮遊粉じん、一酸化炭素、二酸化炭素、温度、相対湿度、気流の6項目を定期に測定し、ホルムアルデヒドは新築や大規模修繕の後に測定します。基準値は令和4年4月に一部が改正されていますので、現行の値で運用できているかを確認したうえで、記録の5年間保存と不適合時の対応までを含めて管理体制を整えておきましょう。

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