9月も後半に入り、岡山県内でも朝晩は少しずつ涼しくなってきました。特定建築物の管理では、この「冷房が終わり、暖房が始まるまで」の数週間が、意外と大切な準備期間です。
というのも、建築物衛生法(ビル管理法)に基づく空気環境測定は、冬場に基準を外れやすい項目がはっきりしているからです。この記事では、冬に不適合が出やすい理由と、暖房シーズン前にやっておきたい確認事項を整理します。
空気環境の基準値をおさらい
建築物衛生法施行令で定められている空気環境の基準(建築物環境衛生管理基準)は、次のとおりです。測定は2ヶ月以内ごとに1回行う必要があります。
- 浮遊粉じん:0.15mg/m³以下
- 一酸化炭素:6ppm以下
- 二酸化炭素:1,000ppm以下
- 温度:18℃以上28℃以下
- 相対湿度:40%以上70%以下
- 気流:0.5m/秒以下
- ホルムアルデヒド:0.1mg/m³以下
なお、温度の下限と一酸化炭素の基準は2022年4月施行の改正で見直されており、温度の下限は以前の17℃から18℃になっています。古い資料をもとにした社内マニュアルをお使いの場合は、数値が更新されているか確認しておくと安心です。測定項目の詳しい解説は空気環境測定とは?ビル管理法で定められた頻度・測定項目と基準値を解説をご覧ください。
冬に基準を外れやすいのは「湿度」と「二酸化炭素」
相対湿度40%を下回りやすい
冬の外気はもともと乾燥しているうえ、暖房で室温を上げると相対湿度はさらに下がります。加湿装置がない建物や、加湿装置はあっても能力が室内の広さに追いついていない建物では、相対湿度が40%を下回る測定結果が出やすくなります。空気環境測定で不適合が出る項目として、冬場はこの湿度が代表的です。
二酸化炭素が1,000ppmを超えやすい
寒さで窓を開けなくなり、省エネのために外気の取り入れ量を絞ると、室内の二酸化炭素濃度は上がります。会議室や人が集まるフロアでは、午後に1,000ppmを超えるケースが見られます。夏場は問題なかった建物でも、冬になると数値が上がるのはこのためです。
温度も油断できない
エントランス付近や窓際、北側の執務室などは、暖房が効きにくく18℃を下回ることがあります。逆に、暖房を強めすぎて特定の場所だけ28℃に近づくこともあり、建物内の温度ムラが冬の測定では表面化しやすくなります。
暖房シーズン前にやっておきたい5つの確認
- 加湿装置の点検・清掃を済ませる
施行規則では、加湿装置は使用開始時と、その後1ヶ月以内ごとに1回、汚れの状況を点検し、必要に応じて清掃することが定められています。さらに加湿装置の清掃は1年以内ごとに1回行う必要があります。長期間止めていた装置は、汚れや水の停滞によって衛生面の問題を起こしやすいため、稼働前に必ず状態を確認しましょう。 - 外気取り入れ量の設定を見直す
省エネ運転のまま冬を迎えると二酸化炭素が上がりやすくなります。人の多い時間帯だけ外気量を増やすなど、空調業者と設定を相談しておくと効果的です。 - 昨年冬の測定結果を見返す
不適合や基準ぎりぎりの値が出た測定点は、今年も同じ傾向になる可能性が高い場所です。事前に対策を打てば、測定当日にあわてずに済みます。 - 測定日の時間帯を業者と調整する
測定は通常の使用状態で行うのが原則です。ただし、暖房の立ち上がり直後だけを測って判断が偏らないよう、業者と時間帯を相談しておきましょう。 - 記録の保管状況を確認する
空気環境測定の結果を含む帳簿書類は、5年間の保存が義務付けられています。担当者交代の前に、どこに何年分あるか把握しておくと安心です。
不適合が出たときの考え方
基準を外れた結果が出ても、それだけで直ちに罰則につながるものではありません。大切なのは、原因を特定し、改善措置をとり、その経過を記録に残すことです。湿度であれば加湿装置の稼働状況や設定、二酸化炭素であれば外気量や在室人数との関係を確認し、次回の測定で改善しているかを見ていきます。
点検を怠った場合のリスクや行政の対応の流れについてはビル管理法の点検を怠るとどうなる?罰則と見落とされがちな3つの実害で詳しく解説しています。
まとめ
冬の空気環境測定では、相対湿度(40%以上)と二酸化炭素(1,000ppm以下)が基準を外れやすく、温度(18℃以上28℃以下)のムラも表面化しやすくなります。暖房を入れる前に、加湿装置の点検・清掃、外気量の設定見直し、昨年の測定結果の確認を済ませておけば、不適合の多くは防げます。
「どこから手をつければいいか分からない」という場合は、空気環境測定を担当している業者に、昨年の結果をもとに冬の対策を相談するのが近道です。測定と設備管理をまとめて相談できる業者であれば、原因の切り分けから改善までスムーズに進みます。
よくある質問
Q. 湿度が40%を下回った場合、すぐに何か罰則がありますか?
A. 測定結果が基準を外れたこと自体で直ちに罰則が科される仕組みではありません。ただし改善が求められる状態ですので、原因の確認と対策、その記録を残しておくことが重要です。判断に迷う場合は管轄の保健所に相談してください。
Q. 加湿装置がない建物では、湿度の基準はどうすればよいですか?
A. 空気環境測定の基準は加湿装置の有無にかかわらず適用されます。加湿装置の設置や運用方法については、空調設備の業者や点検業者に建物の状況を見てもらったうえで相談するのが確実です。
Q. 冬だけ測定回数を増やす必要はありますか?
A. 法令上の義務は2ヶ月以内ごとに1回の測定ですが、昨年不適合が出た測定点がある場合、自主的に簡易測定で様子を見る建物もあります。義務の範囲と自主管理の範囲を分けて考え、点検業者と相談して決めるとよいでしょう。
岡山県内で対応している業者
冬の空気環境について、測定から設備側の対策まで相談できる岡山県内の業者です。
- 株式会社研美社|岡山市。空気環境測定と建物管理をまとめて相談したい場合。
- 日本ビル管理株式会社|岡山市北区。空調まわりの日常管理と合わせて依頼したい場合。
- 株式会社建美|倉敷市。倉敷・県南西部の建物で測定を依頼したい場合。
岡山県内でビル管理法定点検を依頼できる業者をお探しの方は、岡山県のビル管理法定点検業者一覧で料金・対応エリアを比較できます。

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